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習近平主席の国賓待遇、何が問題?

習近平中華人民共和国主席が、今年2020年春に日本に国賓として招かれる見込みだが、

一部で反発の声が根強い事実がある。

 

今回はそんな習近平主席の国賓待遇について、なぜ反対されているのか、大まかに分かり易く解説していく。

 

 

そもそも国賓待遇とは?

国賓とは,政府が儀礼を尽くして公式に接遇し,皇室の接遇にあずかる外国の元首やこれに準ずる者で,その招へい・接遇は,閣議において決定されます。皇室における国賓のご接遇には,両陛下を中心とする歓迎行事,ご会見,宮中晩餐,ご訪問がありますが,両陛下はじめ皇族方は心をこめて国賓のご接遇をなさっています。

 国賓のご接遇 - 宮内庁

 

つまり国賓とは諸外国の元首や首脳が公式訪問として日本を訪問する際の待遇の一つでその中には歓迎行事や宮中晩餐を含む天皇陛下のご接遇を含みます。

 

また、国賓は公式訪問として、国賓と随員12人の滞在費などを国費で負担することになっています。それに、国賓はその待遇自体の特別性を守るために、一年間に1~2人に限定されており、同じ国の国賓は基本的に10年以上の間隔で招かれることになっている。

 

同じ公式訪問による外交国政府要人の待遇として、公賓や公式実務訪問賓客などといった待遇がある。

 

公賓、公式実務者訪問賓客

公賓とは,政府が儀礼を尽くして公式に接遇し,皇室の接遇にあずかる外国の王族や行政府の長あるいはこれに準ずる者で,その招へい・接遇は閣議了解を経て決定されます。皇室においては,賓客に応じたご接遇が行われています。

公賓は基本的には国賓の下位互換と思ってもらえば問題がない。一部宮中晩餐が午餐(昼食会)になったりといった国賓との待遇の違いはあるものの基本的にはあまりかわらない。

公式実務者訪問賓客とは、大統領といった国家元首が公式訪問するときの待遇の一つだが、こちらは外交上の会談など、訪問歓迎という形ではなく、ビジネスライクな公式訪問となっている。

 

習近平主席の国賓待遇、何が問題? 

SP・セキュリティポリスのイラスト

上で書いた通り、国賓とは滞在費や警備費すべて国費での公式訪問となる。国費の訪問である以上招へいする首脳に対する品格も求められる。

また、国賓は慣例的に10年以上の間隔でしか呼べないほど特別なカードである。

国賓はそれだけ重要な政治的意味合いを持つ。

 

習近平主席はウイグルや香港などにおいて深刻な人権問題を抱えており、その基本的人権を守らない習近平主席を国賓待遇で呼ぶという事は、ある意味中国の人権侵害の片棒を担ぐという事にもなり得る

 

それに、米国との対立が長期化していくとみられている現在、中国に対し宥和路線に舵を切ることは、米国との外交の整合性を取れるかという重大な問題がある。

 

また、人口が世界で一番多い国として非常に大きな市場を持つ中国である。しかし、中国を担ぎ上げて経済第一主義に傾倒しすぎるのは、尖閣諸島等への度重なる領海侵犯など安全保障上の脅威であることを鑑みると非常に危うい外交手法と考える人もいる。

 

実際、第二次世界大戦前にヒトラーが台頭してきた頃に、西欧諸国は欧州の小国を無理やり併合するといった横暴なふるまいに対して宥和政策という軟弱な姿勢を見せた結果、ヒトラーは突け上がり、それは第二次世界大戦の重大な要因となった。

 

もちろんそれは、その時台頭してきつつあり脅威であった、社会主義国家ソビエトに対する良い砦としてドイツを利用するという思惑もあったのだが、その結果としてああいう惨事を招いたのだから、じっくり大局的に見る必要があると思う。

 

中国は、尖閣以外にも南沙諸島やカシミール地方などの領土問題を抱える国である。そこには、中国の中華思想的な野心があることは明らかである。

 

今はまだ西太平洋上での米国の軍事プレゼンスは健在だが、これがひとたび無くなれば、中国がどのような姿勢になるかは未知数であり、それだけの安全保障上の脅威を抱えている中で、経済第一主義に傾倒しすぎて中国と融和路線に向かうというのは少し危険ではないかと思う。

 

もちろん、国賓待遇が融和路線に向かていくかというと、必ずしもそうではないが、その方向性に向かっていることは間違いないだろう。

 

 

 

まとめ

コードリールでまとめたUSBケーブルのイラスト

国賓は外交上特別な意味を持ち、基本的に一つの国に対して、10年に一度といった程度でしか国賓として招くことはない。

 

しかし、そんな特別な意味をもつ国賓だが、習近平主席はそれだけの品格を備えていないと考える人が根強くいる。

また、いくら中国の市場が世界で一番大きいとはいえ、経済第一主義に傾倒しすぎ、安全保障をないがしろにする中国への宥和路線は危うい手法と私は思う。

 

 

 

 

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