現代のアメリカでの教育は、グリットが非常に重視されている。グリットとは簡単に言うと粘り強くやり抜く力である。
成功者と残念な人の違いは、グリットの強さによって決まると様々な研究から裏付けられている。そういうと、グリットも才能という人もいると思うが、グリットの強さは変化するという事も分かっている。
そこで今回はグリットとは何か?そしてグリットを身に着ける方法について深堀していく。
目次
GRIT(グリット)とは
グリットはアメリカの心理学者アンジェラ・ダックワースが提唱した概念で。やり抜く力を示す。そして、そのグリットこそが成功の直接的要因だと様々な研究結果が示している。
例えば、米陸軍特殊部隊の選抜試験(肉体的にも精神的にも最も過酷)に合格する人の特徴はグリットの強い人であった。
特筆すべき点は、学力試験のスコアが突出していたり、全米有数のスポーツチームでキャプテンとしてチームを牽引したなどといった、一般に要領がよくて才能があるとされる人であっても、グリットの弱い人は選抜試験をクリアできなかったことだ。
つまり、優秀な人であってもグリットが強いとは限らないし、逆もまた然りという事だ。
それは特殊部隊の選抜試験みたいな特殊な環境だからだといわれそうなので、もう一つアメリカのスペリングコンテストの全国大会の例を挙げる。
スペリングコンテストとは非常に難しい単語のスペルを間違いなく書けるかという大会だ。ここにおいても、グリットの強さと成績に相関がみられた。
では才能(言語知能指数)はどうかというと、才能も勝ち進む人を予想する判断材料にはなったが、才能とグリットとの間には相関が無かった。つまり、才能とグリットは全くの別物であることが分かった。
ここから導き出されることは、才能のある人が才能を活かして結果を出せる限らないということと、グリットの強い人は結果を出せるという事だ。
他にもそれを裏付ける様々な研究結果がある。
グリットの測り方
ではそのグリットはどのようにして測れば良いかというと、次の質問に5段階評価をしてほしい。5から順に、全く当てはまらない、あまり当てはまらない、いくらか当てはまる、かなり当てはまる、非常に当てはまる。となる。
- 新しいアイデアやプロジェクトが出てくると、ついそちらに気を取られてしまう
- 直ぐに挫折してしまうし、簡単にあきらめてしまう
- 目標を設定してもすぐに別の目標に乗り換えることが多い
- 努力家ではない
- 達成までに何か月もかかることにずっと集中して取り組むことが出来ない
- 一度始めたことをやり遂げることが出来ない
- 興味の対象が毎年のように変わる
- 怠惰で、すぐあきらめてしまう
- アイデアやプロジェクトに夢中になっていても、すぐに興味を失ってしまったことがある
- 重要な課題を克服するときに挫折してあきらめてしまった経験がある
これら10個の質問に対しての合計点を10で割ると、平均の点数を出すことができて、それがグリットのスコアとなる。ちなみに、成人したアメリカ人のグリットスコアの中央値は3.8となる。
つまり、3.8より高ければアメリカの真ん中よりも上という事になる。
グリットを身に着ける方法
グリットは育てていくことができ、ここからはグリットの育て方に関して紹介していく。
環境を変える
環境を変えるという事は、グリットを身に着けていくうえで重要だ。なぜなら、人は今の環境に適応することによって今の行動が作られているからだ。
例えば、遅刻が多いのは遅刻が許されるような環境にいるからだし、極端な話、1度でも遅刻したら殺されるような環境にいれば絶対に遅刻することは無いはずだ。
では、どのような環境がグリットを伸ばすかというと、それは一つのことを一生懸命に突き詰めている人がいる場所だ。周りにそのような人しかいなければ、自然とグリットの強い人間になれるはずだ。
幸いなことに、現代は現実世界でそういう人を見つけなくても、SNSなどのネットの世界で探すことが出来る。これほど環境を変えたいと思う人間が環境を変えやすい時代は人類史上初めてだろう。
興味のあることを見つける
人間は自分の興味があることを見つけてこそ、それに打ち込む情熱が生まれる。そもそも情熱のないものには打ち込めない。
それでは興味のあることを見つけるにはどうすれば良いかというと、それは継続していることだ。ほんの些細なことでもよい。あなたにも継続していることがあるはずだ。
ちなみに、俺は元々中高男子校卒で大学に入って、女性との会話に中々馴染めなくて男女の心理学について学んだのが発端でこのブログを書いている。
こんな些細なことでも良いのだ。意外なところに興味というものは落ちている。自分が無意識でしていることこそ興味のあることだし、それを突き詰めていくのは大変だが、興味のあることなら達成感があって続けられるはずだ。
ネガティブな情報を避ける
世の中には自分にとってネガティブな情報があふれている。例えば、努力しても才能がないと意味がないなどといた情報もその一つだ。
ネガティブな感情は伝染する。自分が努力しているときに白けるような情報を目にすれば、やはり白けてしまう。
そんな情報はとにかく避けよう。特に害悪なのが成功者を天才と呼ぶ人や集団だ。
天才とは、成功者がしてきた努力を否定し、何者でもない自分は才能がないから無理という事を刷り込む悪魔の言葉だ。この天才崇拝とでも言うべき宗教は日常のいたるところで潜んでいる。
この天才崇拝から逃げるだけであなたのグリットはさらに強くなるはずだ。
課外活動を積極的に行ってみる
今現在学生の人は、課外活動に挑戦してみるというのもグリットを伸ばすうえで大きな経験になる。
課外活動は大変なことも多いが、やり抜くことを通して自分の進歩を実感しやすいし、何よりも楽しい。もちろん、楽しくない課外活動をするべきではないが、少し楽しいと思ったり、仲間が良いと思ったのなら積極的にやるべきだ。
新しいことに挑戦をしてみる
グリットを高めるために重要なことは、新しいことに挑戦してみることだ。ここで重要なことは、もし現在打ち込んでいることがあるのなら、別に新しいことに挑戦してみる必要はない。
しかし、無いのなら新しいことに挑戦してみよう。そして、絶対にあきらめずに続けてみよう。たとえどれだけ辛くても続けることが重要だ。
あくまでもやらされていることではなく、自分がやめようと思えばすぐに辞められることを続けてみよう。自分で決断して始めたという事も重要だからだ。
これは余談だが、自分で決定する事、すなわち自己決定が幸福度と強い相関があることが神戸大学の研究で分かっている。だから、幸せのためにも自分で決断して新しいことを初めて続けてみよう。
まとめ
ここまで様々な方法を見てきたが、一番大事なことは今の自分から変わりたいと願い続けることだ。
これは何もスピリチュアル的な話では無くて、人間は無意識に思考を現実化しようとするので、願うことによって行動が変わるようになっていく。
これより先はグリットの参考になる書籍を紹介する。
GRIT やり抜く力
これはダックワースが書いたグリットのすべてを収録した本である。グリットを知り、実践したいならまずはこの本を読んでみることをおススメする。様々な研究結果など興味深いことがたくさん書いてある。
GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」
コチラもダックワースが書いたものではないが、非常に面白い内容となっている。